通信教育をこれから受講しようとするあなたの決断に水を注すつもりはないのですが、その資格が本当に、「今とこれからのあなたの人生」にとって必要なのかどうか、よく考えましたか?
「ペン字」や「話し方」などの実用講座、「書道」「パッチワーク」などの趣味講座を受講するのならば、その趣味のために割ける時間が週に何回くらいになりそうか、そして今が講座受講にあたってもっとも適したタイミングなのかどうか等を、頭の中でイメージしてみる程度でもOKでしょう。
しかし、各種の資格試験に合格することを最終的に念頭において、通信教育による資格講座の受講を考えている場合には、もう少し慎重な判断が必要です。
たとえば、介護福祉士やケアマネジャーなどは、資格としては大変に人気です。
しかしながら、介護福祉士の有資格者が約47万人(2005年9月末)もいるにもかかわらず、実際に在宅介護事業や高齢者施設などで働く人はおよそ27万人であり、残る約20万人(なんと実際に資格を取得した方の4割強)が、資格を持ちながらも介護現場で働いていないとのことです(2007年8月24日付 読売新聞より)。
いろいろと事情もあるのでしょうが、苦労して資格をとったのに、こういうのは実に、もったいない話ですね。
あなたはいったい何のために、その資格を取る必要があるのかを、よく考えてみましたか?
いちばんよいのは、家族や友人に「自分はなぜこの資格をとりたいのか」を、実際に口に出して説明してみることです。
きちんとその理由を説明できるようであれば、まず第一段階は合格。
しかし、「なんとなく、時間をもてあましているし…」とか、「就職人気資格ベスト5に入っているから、万一の保険として…」などという弱い動機では、資格取得以前に、講座の最終終了地点にすら到達できるかどうかすら、怪しいものです。
資格に準じる実用講座的なものとしては、他にもたとえば「手話」や「点字・点訳」など、マスターするのに時間と労力がかかるものがありますが、それらについても基本的には同じことが言えます。
たとえ講座を完全に終えたとしても、あなたは本当に、手話や点字を使うことが必要な環境に長い期間、身を投じる覚悟を、お持ちなのでしょうか?
自分が通信講座を受けようと思い立った「動機の強さ」が、ホンモノなのかどうかを、まず確かめる。
これは、非常に大切なことです。